お金はどこから生まれてくるのでしょうか?
日本銀行が刷っている?そう大雑把に教えられているのが日本教育です。
お金が生まれる仕組みは銀行による「信用創造」の仕組みを知る必要があります。
信用創造とは?
英語でMoney creation(お金の創造)
銀行は皆さんから預金を集めて企業や個人へ貸し付けしているのでしょうか?
答えは違います。
この過程を信用創造と呼びます。
信用創造の例(万年筆マネー)
これを明確に理解するためには銀行の歴史を知る必要があります。
銀行が始まるまでの歴史
お金を預けるサービスのはじまり
中世欧州時代、金貨銀貨が通貨として流通していました。
儲かった商人はどうなるでしょうか?
儲かったのはいいけど、持ち出せないほどの金貨銀貨を抱え込んで、襲われないか不安な気持ちになります。
そこで登場したのが金の細工師たちゴールドスミスです。
ゴールドスミスは元々、金を扱う商売をしていることから巨大で頑丈な金庫を持っていました。
この金庫へ商人達の抱え込んでいる金貨銀貨を安心して預けることができるサービスを始めたのがきっかけでした。
金貨を銀貨に銀貨を金貨にする両替商も行っていました。
もちろん金貨を預かる際は「預かり証」を発行します。これは後に「金匠手形」となります。
貸し付けのはじまり
この「預かり証」をゴールドスミスに持っていくことで払い出しができる仕組みなのですが
ある時、金庫にドンドン金貨が貯まっていくことにゴールドスミスは気が付きます。
「預けにくる人たちは、ほとんどの人が全額引き出すことはない」
「これだけ皆が預けたままなら貸しても大丈夫なんじゃね」という事に。
実際に預けられた金貨は10%ほどしか引き出されることはなく、ゴールドスミスは金庫にある金貨の貸し付けサービスを始め、またもや成功しました。
では、この金貨を借りた人はどうするでしょうか?利息を払って家に貯め込む人はいません、もちろん何かしらの支払いにあてます。
この支払いをしてもらった側は、またゴールドスミスへ預けにくるというわけです。
流通のはじまり
さらに、今度はゴールドスミスが発行した「金匠手形」が流通していることに気づきます。
どういうことかというと
例えば100金貨支払があったときに手元に100金貨分の金匠手形があったとします。
わざわざゴールドスミスへ引き出しにいかずに、それを渡してしまえば簡単ですよね?
という具合に決済方法として手形を使うようになったわけです。
となると、ゴールドスミスは
「もはや金貨すら、いらないのでは?」ということに気が付きます。
ゴールドスミスは金貨を貸すのではなく「金匠手形」の貸出しを始めました。
これは、もはや金貨でも銀貨でもなく、ただの紙切れなのですが実際は同等の価値あるものとして流通しました。
ゴールドスミスは、持っている金貨とは無関係に紙に数字を書くことで金貨を貸し出すことに成功したのです。
銀行の仕組み
このゴールドスミスが行った仕組みが銀行の仕組みです。
銀行はお金集めて、貸し付けをしているわけではないのです。
個人や企業がお金を借りる行為を行うことで借用証書を担保に通帳に書き込むだけなのです。
信用創造は「悪」なのか?
この「信用創造」という銀行の行為が「悪」だということではありません。
信用創造によって、世の中にお金が流通して経済がまわり、日本は成長してきたからです。
それなら、銀行がお金をどんどん貸してお金を生みだして景気をよくすればいいじゃん、という人もいるかもしれません。
たしかに銀行は信用創造によってお金をうみだし、経済をまわす一助になっています。
しかし、これが全く返ってこない死に金だとしたら?
信用創造して貸したお金は引き出すことができます。全て引き出され、全くお金が返ってこなかったら?
返してもらう前提で信用創造を行うため返ってこなければ払い出しできず潰れてしまいます。
そのために審査があり、貸し渋りという言葉があるのです。
事実、国民全員の通帳の預金残高は約1000兆円。
しかし、流通している通貨量(現金)は110兆円です。
いかに信用創造されているか分かるかと思います。
ありえませんが国民全員が銀行に全ての預金を下ろしにいくと現金は足りなくなるわけです。